「清純」という言葉が死語ではなかったころ

ピア・デゲルマルクという女優さんを知っていますか？　以前「みじかくも美しく燃え」という純愛映画で話題になったことがあります。確か、モーツアルトの音楽がバックで流れていたと記憶しています。

多分スエーデンが舞台だったように思いますが、彼女自身スエーデン人ではないかと思います。

この女優さんは、数本しか作品に出ないまま、どこかの国の貴族王子と結婚して映画界から引退してしまいました。その後の情報はほとんどありません。全く残念なことですが。

しかし、彼女のあまりに可憐な様子について、今も忘れられない男性がたくさんいることだと思います。私も何を隠そう、その一人です。

彼女は、クリストファー・ジョーンズという男優との共演作がいくつかあり、私生活でも恋人関係にあったと言われていました。「鏡の国の戦争」（日本での公開？）や「さよならを言わないで」という映画がそうです。

後に、そのクリストファー・ジョ－ンズ氏は、名監督のデビット・リーン作品「ライアンの娘」に出演していました。それは、アイルランドを舞台にした名作でした。

さて、私が彼女の映画で一押しなのが「さよならを言わないで」というローマを舞台にした映画です。その作品の中で、彼女と彼の出会うシーンやベットシーン、そして逃避行の途中の森の中での、車に降り注ぐ雨のシーンなど、よく記憶に残っています。

証券会社に勤める彼が、値上がり間違いなしと思われる顧客の持ち株に、つい手を出してしまったということから、警察に追われる立場になったのです。

上の画は、追い詰められた二人が森の中で愛を確かめ合うシーンです。最後は二人とも拳銃で自殺してしまうという悲劇で終わるのですが、ルイサという女性を演じる彼女の美しさ、可憐さはそれこそ超逸品でした。

ため息の出るようなその美しさに乾杯したいものです。オヤジの虚言ではありますが、昔の映画には本当に情緒がありましたね。