レイプシーンがすごい、映画「わらの犬」

そのドラマは、イギリスのうらぶれた片田舎にある若夫婦が移り住んでくるシーンで始まる。そこはもともと閉鎖的な田舎社会、珍しい来訪者に向けられる目は好奇ではあるが、あまり歓迎の雰囲気は感じられない陰鬱な状況である。

夫のディビット（ダスティン・ホフマン）は、小男でお世辞にも風采はあがらない風貌。職業がまた、田舎街には似つかわしくないインテリの数学者である。アメリカの暴力社会から逃れて、静かな環境を求めて、妻エイミー（スーザン・ジョージ）の故郷であるイギリスの片田舎に移り住んできたという設定である。

村の外れにある妻の実家はもう今は誰も住んでいなくて、かなり傷んでいる。そこで妻の顔なじみのチャーリ－、ねずみ駆除業者のクリス、大工のスカット等に車庫の屋根の修理を依頼することになるのだが、この男達は半ばチンピラ風で仕事よりも、若妻のエイミーの存在の方がいつも気になってるようで、彼女に野卑な目を向けているのである。

平和主義者の夫は、あまり意にも介せずに自分の仕事を始めようとするのだが、若くてまだ我がままな妻は、夫に相手にされずに欲求不満を抱いている。エイミーは、わざと窓際で着替えをしたりして向かいの駐車場の屋根の修理中の男たちを挑発する。

男たちの罠

ある日、男たちに無理やり誘われて、デイビットは狩りに出かけていく。夫にはもともとそんな趣味はなく、、男たちはデイビットの弱々しいインテリぶりを馬鹿にしていた。

彼を慣れない狩りに誘い出して、彼が狩場で時間を潰すそのすきにエイミーをものにしようとする算段だったのだ。そしてそのレイプシーンがスゴイ。チャーリーがまず暴力的に妻を犯す。最初は拒んでいたエイミーもしだいに官能的な表情を見せる。そこへ、大工のスカットが同じ目的で現れ、猟銃を突き付けるのだった。彼女は結局二人の男に犯されてしまうのである。

帰ってきたディビットは狩場に置き去りにされたことに怒りを表すが、妻の変化には気づかない様子である。

この映画は、この後が驚愕的にすさまじい！

この映画はサム・ペキンパーというバイオレンス派の映画で有名な監督の手になるものである。他にも、「ゲッタウェイ」や「コンボイ」なども有名なヒット作がある。

「わらの犬」の良くできたストーリー展開とは、暴力を避けて平和な田舎に移り住んできたはずの若夫婦が、そこで予期せぬぬ暴力に巻き込まれるというパラドックスである。

しかも、弱々しかったインテリの小男が、やがてその男達に立ち向かい、防御から責めに転じる瞬間の悦楽のような表情さえも浮かべてしまうその刹那に、さすがダスティン・ホフマンの演技力を見てしまうのです。

結末のクライマックスでは、村の４人の男たちと、殺すか殺されるかのバトルシーンへとなっていくのです。弱々しいインテリ男が殺人者に変貌していくという、その過程で夫に不満を抱いていた妻が妙に従順に夫に従うようになるという場面も見逃せません。

我がままで夫に不満を抱く妻を演じるスーザン・ジョージのリアルな色気も捨てがたい。他の作品「マンディンゴ」で見せた、あのケン・ノートンとのラブシーンも印象的である。